ヒトにおける試験では、血圧が高めの被験者において、血管拡張反応を改善し、動脈硬化を防ぐことや、脳の血流量を増加させることで認知症を予防する可能性が報告されています。また、健常者に対しても、レスベラトロール2.5gを28日摂取した結果、有意に血中の増殖因子IGF-1やその結合タンパク質IGFBP-3の減少が認められ、乳がんや肺がんのリスクを低減する可能性が報告され、健常者にレスベラトロールを250mg又は500mg摂取後、45分以降で濃度依存的に前頭葉の血流の亢進が認められ、脳機能の改善に役立つと報告されています。
2011年、ヨーロッパの研究チームが肥満男性にレスベラトロールを投与したところカロリー制限をしたのと同等の効果が得られました。肥満男性11人と健康な男性11人を対象に、レスベラトロール(150mg/日)のサプリメントとプラセボ(偽薬)を用いて二重盲検比較試験を実施したところ、レスベラトロールを30日間服用した後に、エネルギー消費、代謝率、血糖値、血圧は低下し、肝臓に蓄積した脂肪は減少していることが分かりました。一方、サーチュイン活性化物質の開発を推進するSirtris社はレスベラトロールには効果がないとして臨床開発を断念しており、レスベラトロールが肥満や加齢に関連した代謝性異常を改善する効果があるかどうかを立証するためには、さらに多くの調査が必要と考えられます。
食品では赤ブドウの果皮と赤ワインなどに含まれます。ピーナッツの皮、イタドリ、インドネシアの植物メリンジョなどにも含まれます。また現在はサプリメントとしても市販されており、アメリカを中心に市場を拡げています。海外で主に使用されているレスベラトロール素材は、安価なイタドリ抽出物であるが、日本では、イタドリ抽出物は医薬品区分に含まれるため、違法サプリメントとなります。